研究課題/領域番号 |
22540005
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小松 尚夫 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (70300556)
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キーワード | 連分数 / 整数論 / 組合せ論 / 代数学 |
研究概要 |
連分数の組合せ論的研究として、leaping convergentsの性質をHurwitz連分数とTasoev連分数について調べた。Hurwitz連分数については合流型超幾何極限関数の値の比で表される一般の連分数を考察し、その連分数の部分商の算術的数列を幾何的数列に対応させる形で新しいタイプのTasoev連分数を考案した。それぞれのleaping convergentsの性質を詳しく調べることで、具体的な値に対応する近似分数を正確に表すことができた。 連分数の代数的研究として、海外協力研究者のLaohakosol氏などと数論的関数の独立測度について調べた。これは、数論的関数の代数的独立性の規準を与えるもので、この独立性の測度に関する一般の質的結果を証明することにつながった。また同時に、形式的ディリクレ級数に関する対応する結果も証明できた。これらの実績は、1950年代のCarlitz、1960年代のPopken、1980年代のShapiroとSparerの結果を拡張するものである。 連分数の解析的研究として、フィボナッチ・ゼータ関数との関連で登場したフィボナッチ数の逆数和の値を考えた。フィボナッチ数に関する和は、4項関係式からなるトリボナッチ数に関する和の問題にも拡張でき、また一般フィボナッチ数の和に関する問題にも発展できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連分数の組合せ論的研究についてはleaping convergentsの研究、代数的研究については数論的関数の代数的独立性に関する研究、解析的研究についてはフィボナッチ数やその拡張あるいは発展の数の逆数和に関する研究、とそれぞれの方向に研究を進めることができ、対応する成果が得られた。以上により、三方向の研究はそれぞれ進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
連分数の組合せ論的研究についてはleaping convergentsの研究を発展させ、より一般の連分数を対象に扱っていきたい。代数的研究については数論的関数の代数的独立性に関する研究の扱う関数の一般化と条件の緩和をはかっていきたい。解析的研究についてはより一般の項数からなる数について逆数和を研究していきたい。また、統合的研究を見据えて方向性の統合や横断を模索していく。また最近、ゼータ関数と関連するベルヌーイ数の類似として、コーシー数なるものに注目しており、その性質が徐々に解明されだしているので、数論的方面と組み合せ論的方面から研究していきたい。
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