研究概要 |
本計画は,種数2以上の代数曲線に付随するAbel函数の代数的加法公式について,堅牢な理論を構築することを目的に3年間で遂行されるものです.本年度は,以下の様な2つの方向から研究を行ひ,結果を論文として公表いたしました. 1.J.C.Eilbeck氏,松谷茂樹氏との共同研究であります.幾何学的な対称性を豊富に持つ曲線の場合のJacobi多様体上の函数(Abel函数)についての代数的加法公式にの具体形を得ました.これは古典的に楕円函数の場合にFrobenius-Stickelbergerの公式と呼ばれるものの一般化になつてゐます.もとの代数曲線の対称性を自然に反映した形の加法公式をいくつかの場合に完全に具体的に調べ上げました.結果をまとめて査読付きの学術誌に公表しました. 2.次に,幾何学的な対称性を持たない一般の曲線について,Jacobi多様体に層化構造を加味した状況での代数的加法公式を与へました.これもFrobenius-Stickelbergerの公式の上記1とは別の観点からの自然な一般化となつてをります.理論的にはこちらを使ふと上記1で述べた公式を導くことができます.この結果は論文として査読付きの学術誌に掲載されることになりました.ただし,一般の場合の理論を完全に書き切るにはもう少し調べなければならない部分があるので,今回は5次式で定義されるtrigonal curve(種数は4)について結果を詳細に述べました. 以上です.
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