研究概要 |
Weierstrass の楕円函数論に現れる sigma 函数をできるだけ一般の楕円曲線から出発して再定義し, そこから構成される普遍的楕円函数 (universal ellptic functsions) について研究した. 特に下記の 2 つの結果を得た. 2 については論文を執筆中である. 1. Scotland から J.C. Eilbeck 氏と Matthew England 氏の 2 人を山梨大学に招聘して, 2 週間に渡つて共同研究を行なつた. その結果, 上記の普遍的楕円函数について, Hermite-Frobenius-Stickelberger の 加法公式に類似してゐるが, 今までに知られてゐない型の加法公式を発見した. その公式は無限個の系列を持つのであるが, 未解明な点もあるため, その一部に限り完全に具体的に書き下した. 結果をまとめて arXiv.org に公表した. 2. 上記の再構成した sigma 函数の新しい構成法を発見した. 基本的な idea は sigma 函数の満たす平行移動公式 (translational relation) に現れる調整因子を周期格子を走らせてすべての和を取る. 但し, このままでは定数函数 0 になつてしまふので, 少し工夫をして, 自明でない平行移動公式を満たす函数を構成すると, 平行移動公式の解の 1 次元性により, その無限和が sigma 函数となる. まだ, 非自明な函数であることの証明に少し問題があるが, 概ね, この構成法ですべての種数の sigma が構成できる. これは theta 函数を必要としないことと, modular 不変性が明かになる点で有用である.
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