研究課題/領域番号 |
22540011
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中山 能力 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (70272664)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 対数幾何学 / アーベル多様体 / トロイダル・コンパクト化 |
研究概要 |
当研究はアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化を、log 幾何を用い、log アーベル多様体のモジュライ空間として構成することを目ざすものであった。24 年度は、梶原健氏、加藤和也氏と共同で、log アーベル多様体の固有模型についての研究を進めた。前年度に不明であった、任意の base 上の log アーベル多様体が Z 上有限生成な base 上から来るかという問題を詳細に検討した結果、ket site を用い、さらに toric stack から通常の概型への射が定数になることを用いるなど、様々な道具を組み合わせた議論を重ね、最終的に、これを肯定的に解決することができた。また、不明であったもう一つの点である、valuative criterion が離散付値に対する条件のみで機能することについても、解決することができた。また、前年度までは認識されていなかった点であるが、離散付置環上の log アーベル多様体の把握ができていないことが明らかになったが、これは、Raynaud 理論や rigid 幾何を用いることで解決できた。以上により、少なくとも、固有模型については、最終目標のために十分な事柄が証明できたと思われることと、すでに大部な理論となっているので、固有模型の理論を射影模型の理論と切り離してまとめることに決め、現在、プレプリントを執筆中である。 新年度は射影模型についても検討していき、最終目標であるモジュライ空間の構成につなげていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究はアーベル多様体のモジュライ空間のコンパクト化を、log アーベル多様体のモジュライ空間として構成することを目ざすものであるが、24 年度までにおいて、log アーベル多様体のモジュライ空間の構成の基礎となる、固有模型の理論がほぼ完成し、特に、24 年度には、モジュライ関手の局所有限性にあたる、log アーベル多様体が Z 上有限生成な base 上から来るという重要な命題が証明されていることから、おおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
25 年度も、当初の予定通り、共同研究者の梶原健氏、加藤和也氏と緊密に連絡を取り合い、固有模型についての理論の詳細の検討を続ける他、射影模型の理論についても検討を本格化し、最終目標であるモジュライ空間の構成につなげていく方針である。
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