研究概要 |
有限Coxeter群Wの余不変式代数は,可換な有限次元Gorenstein環の中でも特に顕著な性質を持つものであり,WがWeyl群の場合は旗多様体のcohomology環と同型であることが知られている.本年度の研究ではこのような余不変式代数のLefschetz性について研究し,WがH_4型以外の場合についてLefschetz元の集合を決定した.WがWeyl群である場合には旗多様体の幾何を用いることができるのに対し,Wが非結晶的である場合には幾何を用いることができないのが最も大きな困難である.WがWeyl群である場合でも,幾何を用いない純代数的な証明は困難である.また,H_4型の余不変式代数がLefschetz性を持つことは沼田・和地により証明されているが,そのLefschetz元の決定は未解決であり今後の課題である. また,affine Weyl群のある種のYetter-Drinfeld加群に付随したNichols-Woronowicz代数を導入し,その構造を研究した.主な結果として,この代数の部分代数としてaffine nil-Coxeter代数やaffine nil-Hecke代数が構成できることを証明した.これにより,affine GrassmannianのPontryagin環と旗多様体の量子cohomlogy環との間のPeterson同型を非可換微分構造の言葉で記述することができ,Fomin-Kirillovにより導入された二次代数の量子変形に対する一つの解釈を与えることができた.
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