研究課題/領域番号 |
22540015
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
前野 俊昭 名城大学, 理工学部, 准教授 (60291423)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 代数的組合せ論 / 量子代数 / 鏡映群 / Hopf代数 |
研究概要 |
平成25年度の研究においては、可換な次数付Artin環に対するLefschetz性についての主要な結果をまとめ、共同研究者と共に著書として刊行した。この著書は、特に有限次元Gorenstein環の強Lefschetz性に対するHessian判定法や、vector space latticeの Sperner性の環論的証明、鏡映群の余不変式代数の Lefschetz性等に関するオリジナルな結果を含むものである。 また、これまでの研究で matroidに付随した体上有限次元な Gorenstein環を構成し、幾何的modular束の場合にその Lefschetz性を証明したが、その構成の類似としてブロックデザインに付随した Gorenstein環の構成を行い、そのLefschetz性に関する結果を得ることができた。これにより、有限幾何的対象に対して可換環論的手法を用いた興味深いアプローチの可能性が明らかになった。 その他に、Lefschetz性の研究に関しては、余不変式代数に類似した構造を持つ代数についての強Lefschetz性や、Hessian判定法に関連して幾つかの進展が得られた。 もう一つの主要な研究テーマである Schubert calculusに関しては、旗多様体の量子Schubert calculusと affine Grassmannianとの関係について様々な研究者により多くの発見がなされつつあり、これらを基にしてK理論的な場合の具体的な対応の記述に着手した。これについては幾つかの具体例を得ているが、平成26年度における中心的なテーマの一つとして研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は様々な有限次元代数の組合せ的構造の研究であり、特に主要なテーマとして次数付可換Artin環の Lefschetz性の研究と、Schubert calculusの二つを挙げている。Lefschetz性に関しては研究計画の段階において期待した結果を概ね得ることができ、それらをまとめて著書を刊行することもできた。 Schubert calculusに関しては、近年特に量子Schubert calculusと affine Schubert calculusの対応関係について多くの研究者による仕事があり、発展が著しい。こうした最新の結果を踏まえつつ今後の研究を進めていく予定であるが、研究代表者自身のこれまでの結果を用いた議論の展開の可能性が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
Lefschetz性に関する研究については、計画段階で期待した目的に関しては概ね達成できたものと考えているが、その過程で新たに見出された問題があり、それらの研究を引き続き進めていく。特に。半順序構造の組合せ論に関してより広い視野からのアプローチが必要になるものと考えている。 Schubert calculusに関しては、旗多様体のK環と affine Grassmannianの K環との具体的な対応関係について、これまでの結果を利用しつつ研究を進める。これに関しては、既に前年度中に得られた幾つかの具体例の計算を参照しつつ行う。
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