研究概要 |
直交型多重旗多様体のうち、無限型のものの基本形を決定した。特に、4重旗多様体の最も簡単なものが無限型であるので、これを用いてすべての4重旗多様体が無限型であることを示した。よって、3重旗多様体が有限型になるための条件が本研究の主要問題となる。 上記の無限型のものの基本形を用いて、奇数次直交型3重旗多様体が有限型になるための必要条件を導いた。この条件を満たすものは3通りに分類できて、1つの場合については公表済みの論文において有限型であることをすでに示した。次に簡単な場合についても同様の方法を用いて、解決できた。 最後の複雑な場合については基本的な証明方法はできているが、完成していない。この場合の典型例としては、3つの旗の型がそれぞれ (7,1,7), (5,5,5), (3,3,3,3,3) の場合がある。このとき、群 SO(15) の次元と3重旗多様体の次元が等しくなり、「分解不可能」多重旗多様体の興味深い例を与える。偶数次直交型3重旗多様体および例外型多重旗多様体の有限性の条件についてはまだ研究できていない。 関連する研究として、1つの旗多様体が最大の場合(放物型部分群がボレル部分群の場合)については Littelmann, Stembridge によって有限型になるための条件は決定されている。しかしながら、彼らは開軌道の存在を示したのであって、具体的な軌道分解は今後の研究課題である。
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