研究概要 |
多変数楕円超幾何級数の定式化: 1) sl_N型の頂点型楕円R-行列と面型楕円R-行列の繋絡ベクトルとその双対を用いて, U_{q,p}(\hat{sl}_N)のL-作用素の構成を行い, それを対称フュージョンして補助空間に関するトレースをとりさらに多重主特殊化を行うことにより, 梶原-野海, Rosengrenらによって定式化されたsl_N型の多変数楕円超幾何関数が得られることを示した. 2) 対応するフュージョンされたZ_N Belavin模型にBethe仮説法とsl_N-Sklyanin代数のテータ関数の空間上の表現を適用することにより, 繋絡ベクトルを特徴付ける差分方程式を導出した. 面型楕円量子群の定式化と表現: 1) 面型楕円代数について, Drinfeld型U_{q,p}(g)とFaddeev-Reshetikhin-Semenov-Tian-Shansky-Takhtajan型E_{q,p}(g) (g: 非捩アフィン リー代数)を, pの形式的巾級数環上の位相代数として再定式化し, g=\hat{gl}_Nの場合に, 両者が同型であることを示した. 2) U_{q,p}(g)に付随するダイナミカル量子Z-代数Z_cを定式化し, U_{q,p}(g)およびZ_cのレベル kの無限次元表現のある部分圏同士が同値となること, 特に, U_{q,p}(g)の最高ウェイト表現の既約性は対応するZ_cの表現の既約性に帰着されることを示した. 3) 2)に基づき, U_{q,p}(g)のレベル 1最高ウェイト既約表現をg=A{(1)}_n, B{(1)}_n, D{(1)}_n, E{(1)}_6,E{(1)}_7,E{(1)}_8の場合に具体的に構成し, 同表現空間は対応するコセット型の変形W-代数の既約表現空間の直和への自然な分解を持つという予想を得た.
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