研究課題/領域番号 |
22540023
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
飯寄 信保 山口大学, 教育学部, 教授 (00241779)
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キーワード | 有限群 / 単純群 / バーンサイド環 / 部分群束 |
研究概要 |
Gを有限群とする。Gの位数を割り切る素数pについてAを基本p-可換部分群とする。Aによって正規化される自明でない部分群の集合をXとする。Xは乱含有関係によって自然に半順序集合になる。我々の重要な問題として「任意のXの元HについてAにおけるHの中心化群が自明でなければ、AはGの中心と自明でない共通部分を持つ。」、「指数がpと疎な部分群の分類」等がある。またこれらの延長線上には、「任意のGのp-元の中心化群とAが非自明な交わりを持つならば、Gは正規p-部分群を持つ。」というQuillen予想とかかわりの深い問題がある。これらの考察は、本質的な部分は単純群の場合に帰着されている。本研究においては、主に単純群の場合にこれらの問題を解決することを考えているわけであるが、階数の大きいLie型の単純群の場合においては比較的容易に議論を進めることが出来ている。階数の低い場合は、依然困難が残っておりこれまでの手法を進める以外に他の視点を組み込むことが必要となってきた。これに対応するために次のような概念を導入した。XにGを加えた半順序集合X_0に付随するQiverQ、ZQ(Zは有理整数環)を自然に結合代数とみなすと、ZX_0を自然に2通りにZQ-加群と考えることが出来る。ZX_0のZ-自己同形環の部分環でこの2通りのZX_0-加群構造による準同形像で生成されるものを導入し、これをUp-Down代数と呼ぶことにした。このUp-Down代数には、部分群の位数・指数の情報が入っているとともに、素数グラフを観察するために導入された一般化されたバーンサイド環も部分代数として入っている。この代数の構造定数が群の構造に深くかかわっていることが観察され、これを詳しく観察することで本研究を円滑に進めるよう工夫を図っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
階数の低いLie型の単純群を解析するにあたり、予想以上の困難があったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は階数の低いLie型の単純群について困難があること、その困難を克服するためにUp-Down代数を導入し観察を進めている。これまでの手法を引き続き継続していくとともに、Up-Down代数の構造数等の本課題と直接関係している対象を詳細に調べ研究を進めていく。
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