研究概要 |
本年度もKoornwinder多項式のBaker-Forrester定数項予想への応用を見込んだ研究を集中的に行った。 1.しかるべき(次数が支配的でない)Koornwinder多項式の一部分の変数に関して交代化作用素及び残りの変数に対称化作用素を作用させたものを再びKoornwinder多項式で展開するときの元のKoomwinder多項式に関する展開係数を求めることができた。これは前に予想されたLascoux等の結果を用いるのでなく、交代化作用素、対称化作用素とDunkl作用素との関係から展開係数に関する漸化式が出てくることによる。この結果は次数が支配的なKoornwinder多項式のすべての変数に関する交代化又は対称化の場合のMacdonald,, Stokman等の結果の一般化になっている。 一般に、Koornwinder多項式に部分的変数に関する交代化作用素或いは対称化作用素を施したもののKoornwinder多項式による展開係数が漸化式を満たすこと、特にその一部分は明示的に解くことができるという事実は注目するにに足ると思われる。 2.Baker-Forrester定数項予想を仮定すると、簡単な極限操作によりいわゆるDyson-Mehtaの積分公式(Mehta, Random Matrices, Third ed.,p.325)の一つの拡張が、A型の場合に限るが、できることがわかった。Dyson-Mehtaの場合の被積分関数と部分的変数の差積の平方の積の積分がやはりガンマ関数の積で書けるのである。 この事実はBaker-Forrester定数項予想自身の重要性を裏付けるものと思われる。
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