研究課題/領域番号 |
22540032
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
角皆 宏 上智大学, 理工学部, 准教授 (20267412)
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研究分担者 |
都築 正男 上智大学, 理工学部, 准教授 (80296946)
五味 靖 上智大学, 理工学部, 准教授 (50276515)
梅垣 敦紀 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (60329109)
小松 亨 東京理科大学, 理工学部, 講師 (10403974)
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キーワード | 整数論 / 代数学 / ガロア理論 / アルゴリズム |
研究概要 |
ネーター問題の研究では、6次可移部分群の複比型ネーター問題について、残る非可解な6次可移群について引続き取り組んだが解決には至らなかった。早稲田大学の橋本喜一朗氏との共著で、解決した全ての可解な可移部分群を中心に統一的観点から結果を整理してまとめ、原著論文格の査読つき国際集会報告集原稿として完成させた(掲載決定済)。また、研究補助者の大学院生と共に、複比を根とする多項式の統一的な構成法に取り組んだ。有限群の表現論を援用して本構成法が使える可能性のある6次可移群を決定した後、多項式の明示的な構成に臨んだが、多くの場合は計算が困難で、具体的な結果を得たのは比較的簡単な場合のみに留まった。これについては経過報告的な口頭発表を行なった。また、多項式・方程式のガロア群という観点に立ち戻り、与えられた置換群を根の置換として実現するような多項式の構成法を、複比型ネーター問題と関連付けて取り組んでいるが、これはまだ萌芽的段階である。 代数多様体の被覆を通じた研究として、種数1のデッサンの研究を進めているが、6次被覆の中で手掛かりが少なく計算困難な一部の場合が依然未解決であり、計算と並行して、既に得た結果の整理・改良を行なっている段階である。 研究分担者を中心として進めた部分では、小松亨氏が、生成的多項式に関する計算機実験から観察された数論的性質を研究・応用し、与えられた惰性条件を満たす代数体の存在・非存在に関する結果を得て、国際集会の招待講演で発表した。五味靖氏は有限群の表現論の観点から、有限体上のガウス和の一般化として、有限コクセター群上やA型岩堀ヘッケ環上にガウス和を定義し、その値を決定した。 また、計算機環境の整備については梅垣敦紀氏と協力して行なっている。保型形式の観点からの研究および研究補助者も含めた態勢の強化については、都築正男氏と協力して行なって進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
6次可移部分群の複比型ネーター問題について、残る非可解な6次可移群についての解決を当該年度の中心的な目標として取り組んできたが、予想以上に計算が困難であり結果を得るに至らなかった。偶数次であることや6次対称群に例外的な外部自己同型があることなどに由来する、計算量以外の本来的な難しさがあることも考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
6次対称群の外部自己同型の構成的ガロア理論の観点からの研究など、前項に記した困難点に新たな視点で取り組んでいくと共に、場合によっては7次以上の置換群のうち比較的簡単な場合についての研究を先行させることも考えている。また、有限群の表現論の観点から群論ソフトウェアなどの活用を増やしたり、生成的多項式の代数的整数論における活用をさらに進めるべく、研究分担者との協力態勢を密にしていきたい。
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