研究課題/領域番号 |
22540032
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
角皆 宏 上智大学, 理工学部, 教授 (20267412)
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研究分担者 |
小松 亨 東京理科大学, 理工学部, 講師 (10403974)
五味 靖 上智大学, 理工学部, 准教授 (50276515)
梅垣 敦紀 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (60329109)
都築 正男 上智大学, 理工学部, 准教授 (80296946)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 整数論 / 代数学 / ガロア理論 / アルゴリズム |
研究概要 |
今年度は、ネーター問題の研究では、非可解な6次可移群に関する複比型ネーター問題、6次ネーター問題における外部自己同型の作用との関係、複比型ネーター問題と元々のネーター問題との間の相対的有理性問題、などに引続き取り組んでいるが、余り進展せず、発表する段階にはない。代数多様体の被覆を通じた研究である種数1のデッサンの研究では、6次被覆の中で幾何的な対称性がないため計算困難な一部の場合が依然未解決で、今年度は主にこの探求を行なった。未定係数法により得られる多変数高次の連立方程式が不可避な場合である。従来は最初に、定義体を上げずに変数の個数をなるべく減らすよう工夫していたが、その手法では途中で次数が上がるために計算が困難になっていることが判ってきた。そこで変数が増えても次数が上がらないように計算する手法を、既に結果を得ている場合で試み、計算がやや小さくなることを観察した。但し未解決の場合の結果を得るには至っていない。種数1で2点完全分岐なデッサンについては、次数が大きくても比較的容易に計算できる手法を得ており、従来得ていた計算結果のうちこれに該当するものの計算を見直して、幾つかの場合により簡潔な形で結果が得られることを確認した。 研究分担者を中心として進めた部分では、小松亨氏が、惰性条件に着目した代数体の存在・非存在に関する考察に関して、既存の数表を利用した大規模な計算機実験を必要とする方法では限界があったが、群論的分析を詳細に行なって小さい計算に問題を還元することで、未解決の場合の幾つかについて結果を得ることができ、口頭での研究発表に至った。 また、計算機環境の整備については梅垣敦紀氏と協力して、保型形式の観点からの研究については都築正男氏と協力して、それぞれ行なっている。また、研究補助者も含めた態勢の強化については、五味靖氏・都築正男氏と協力して進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
主な研究課題である「6次可移部分群の複比型ネーター問題」「種数1の6次のデッサンの計算」共に、多くの場合がある中で当該年度までに未解決のまま残っている場合は、計算が大きくて困難であるため。それぞれ現在までの計算手法に問題点はないか、従来結果が得られている場合に他の手法を試して比較してみるなど模索しており、より良い手法のアイデアを一部に得てはいるが、結果を得るには至らなかった。その他の研究課題はまだ萌芽的段階あるいは準備中であり、まとまった結果を発表する段階になっていない
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今後の研究の推進方策 |
「種数1の6次のデッサンの計算」については、上述の通り計算手法の改良が見えてきたので、これを推し進める。但し、計算機任せだと無縁解が紛れ込んで計算が大きくなり結果が得られないため、現状では無縁解に対応する因子を各段階で人手で識別して取り除きつつ進める必要があり、その段階での困難も予想される。その他、上記に挙げた問題の中では、非可解な6次可移群の場合の複比型ネーター問題、複比型ネーター問題と元々のネーター問題との間の相対的有理性問題、種数1で2点完全分岐なデッサンの計算、などについて、主に力を入れる予定である。その際、研究補助者と協力して進める態勢づくりや計算機代数ソフトウェアの活用をさらに進めるため、新年度より新たに研究分担者を補充したので、研究分担者との協力態勢を密にしていきたい。
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