総実代数体上の2次一般線形群の保型尖点表現で実素点における極大コンパクト群の作用に関して不変ベクトルを含むものの(=マース波動表現)うち、代数的導手が固定された平方自由イデアル(=レベル)となるもの全体を考え、ある2次体へのベースチェンジL関数の中心値を重みとした分布関数が研究対象である。22年度計画では、絶対ノルムが無限大に発散するような平方自由イデアルの塔に沿った、この分布関数の挙動の主要項を決定することを目標の一つに掲げたが、これは概ね達成された。 また、固定されたレベルを持つマース波動表現のうち、無限素点における無限小指標に関する重み付きの数え上げ関数を導入し、この数え上げ関数に対してワイル法則型の漸近公式を導いた。この過程で、マース波動表現の標準L函数の中心値の中心指標に関する凸評価の部分的改善が可能であることも分かった。これら一連の結果は、保型グリーン函数を使って明示的に相対跡公式を計算することで得られる。結果は学術論文にまとめ現在投稿中である。 年度の後半では、研究実施計画に述べた2次斜交群を特殊ケースとして含む、ランク2の直交群上の正則スカラー値保型形式の標準L函数の平均分布を調べるための予備的な研究に着手した。これは次年度への継続課題である。
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