26年度研究実施計画の最後では、分裂階数が1のユニタリー群と一つサイズの小さな部分ユニタリー群の対に対するGross-Prasad周期に関連した相対跡公式の明示的研究に着手する予定であったが、その前段階として部分ユニタリー群の表現が自明である場合を考察した。この設定でのdistinguished保型表現は2次のユニタリー群の保型表現からの持ち上げで尽くされるというのが予想であり、2次ユニタリー群の表現が正則な場合にはKudla-Milsonによるフーリエ係数とポワンカレ級数を使った加法的な理論が知られている。Flickerによる2次ユニタリー群の保型表現からCM体上のGL(2)のdistingushed保型表現へのunstable changeの構成とその特徴付けによれば、直接CM体のdistinguished保型表現からユニタリー群のdistinguished保型表現への持ち上げを構成するのは自然である。26年度はそれぞれの群の相対跡公式を比較を行うために必要な道具を整備した。
|