研究課題/領域番号 |
22540038
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松本 圭司 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30229546)
|
キーワード | 超幾何関数 / ねじれ(コ)ホモロジー群 / 交点形式 / モノドロミー群 / パッフ形式 / 平均反復 |
研究概要 |
Euler型の積分表示を有する超幾何関数に関して、ねじれホモロジー群とねじれコホモロジー群が定義され、これらの群の間にある自然なペアリングとしてその積分表示は翻訳される。一方でこれらの群には交点形式と呼ばれるペアリングが存在する。研究代表者は、超幾何微分方程式系のモノドロミー表現に対して、異なる固有空間がねじれホモロジー群上にある交点形式について直交することを発見した。この事実によりLauricellaにより定義された多変数超幾何微分方程式系F_Dのモノドロミー表現の生成系を解空間の基底の取り方に依存しない形で与えた。そしてある基低を指定した場合のモノドロミー行列を複素鏡映のルートベクトルによって与えた。基底を定めずにモノドロミー表現が与えられたことは初めてであり、基底を指定した場合には交点行列を計算することでその基底に関するモノドロミー行列が得られる仕組みが出来たことは大変重要なことである。また、超幾何微分方程式系を同値なパッフ形式に変形することは、ねじれコホモロジー群をファイバーとするベクトルバンドルの接続形式を求めることであることは知られていた。研究代表者は、ねじれコホモロジー群上にある交点形式を用いて、ベクトルバンドルのフレームの取り方に依存しない形で接続形式を与える原理を発見した。その応用として超幾何微分方程式系F_AとF_Dに対して、対応するベクトルバンドルの接続形式を与え、フレームを指定することでパッフ形式の具体形をねじれコホモロジー群上の交点形式を用いて与えた。与えられたフレームに対して、交点行列を計算することでパッフ形式が得られる仕組みは、他の超幾何微分方程式系への応用が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多変数超幾何微分方程式系のうちF_AとF_Dと呼ばれるものに関しては、モノドロミー群やPfaffianの構造を交点形式を用いて解明している。F_Cと呼ばれるものに関しては、2変数に関しては同様に構造の解明がなされている。また、2変数超幾何関数で成立する変数変換公式を発見し、不完全楕円積分の高速数値計算アルゴリズムへの応用も得ている。
|
今後の研究の推進方策 |
超幾何微分方程式系F_Cに関しては、一般変数の場合への拡張を目指す。多変数超幾何関数の変数変換公式の導出やその公式の解析数論への応用をはかる。
|