研究課題/領域番号 |
22540045
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小森 靖 立教大学, 理学部, 准教授 (80343200)
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キーワード | 多重ゼータ / リー群 / ゲージ理論 |
研究概要 |
2011年度は量子多体系と多重ゼータ関数を主な対象として研究を行った。 Euler-Zagier多重ゼータ関数の特殊値、および値の関係式を、ルート系に付随する多重ゼータの特殊化を施すことによって得ることができた。これまでは特殊値の母関数はあったが、新たにえられたものは特殊値だけではなく、同時に関係式も与えるものであり、さらに制限和公式を精密化した公式を与えるものである。この方法によってもっと別の関係式が得られる可能性があり、今後の発展が大いに期待できる。 (松本耕二氏(名古屋大)と津村博文氏(首都大)との共同研究) BC型多重楕円超幾何級数の変換公式について研究を行った。一重楕円超幾何級数から行列式を構成して多重化し組み上げるという方法(Principal specialization)を用いて、これまでにある多重楕円超幾何級数の変換公式を含む新たな公式を発見した。今後この方法を用いて様々な公式を構成することが可能となると思われる。 (野海正俊氏と増田恭穂氏(神戸大学)との共同研究) p進ユニタリエルミート行列空間における球関数のフーリエ変換について研究を行った。この研究において多体量子系を記述するMacdonald多項式の特殊化が現れることが明らかになり、この事実によって可積分系で用いられている手法が大いに役立つことが期待できる。今後Affine Hecke代数などにより、より一般的な記述を研究したい。 (広中由美子氏(早稲田大学)との共同研究)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Euler-Zagier型の多重ゼータ値及び、値の関係式を、ルート系のゼータ関数からの研究によって導出できた。 また、p 進ユニタリエルミート行列空間における球関数のフーリエ変換についての研究が進展しつつある。さらにBC型多重楕円超幾何級数についてもいくつか新たな知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
現在得られているEuler-Zagier型の多重ゼータ値及び、値の関係式をさらに詳しくしらべ、まだ解明されていない関係式などの発見に役立てる。また球関数のフーリエ変換やBC型多重楕円超幾何級数については新たな方向性が見えてきたため、専門家との意見交換を行いつつ進めていきたい。
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