研究概要 |
(1)複素アフィン平面のコンパクト化としてのヒルツェブルフ曲面の研究について,境界因子は2つの既約成分からなるが,そのうちの1つは非特異有理曲線であろうという予想に対し,肯定的な解答を与えることができた.この結果を踏まえ,2つの境界因子の分類をヒルツェブルフ曲面の双有理自己同型写像の構造を調べてることにより試み,幾つかのケースを除き大まかな分類ができた.一方,研究の過程でモロー氏によって既に得られているC^2の最小正規コンパクト化の分類定理に対し,西野・鈴木による正則写像の真性特異点での集積値集合の理論を用いた解析的な別証明を与えることができた. (2)3次元複素アフィン空間のコンパクト化としての超曲面端末特異点をもつ第2ベッチ数1なる3次元特異ファノ空間Vの研究について,そのファノ指数(インデックス)r=r(V) は r=1,2 である事は知られていた.更に,r=2 のときは V の次数 d は d=4 であること,r=1 のときは V の種数 g とおくと, g=10(次数 d=18)なるの3次元特異ファノ空間の中に3次元複素アフィン空間のコンパクト化が存在することも知られていた.しかし,境界因子の構造やVの端末特異点の構造については分かっていなかった.そこで,これら2つのタイプの特異ファノコンパクト化に対し,並河氏による3次元特異ファノ空間のスムージングに関する結果を適用して,境界の構造やVの特異点のタイプを決定した.実際,特異点は唯一つの通常2重点を持ち,境界因子は直線を特異点にもつ非正規既約射影代数曲面であること,その正規化の構造も解明できた.
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