研究概要 |
22, 23年度に引き続き「Galois分岐被覆の明示的構成に関する研究」から派生する新たな問題に取り組み,その成果を開代数曲面および,曲面上の曲線の補空間のトポロジーの研究に応用した.具体的には以下の通りである:1. 有理曲線上の楕円曲面の2重切断とこれから定まる切断(生成ファイバー上の次数2の因子とそのアーベル・ヤコビ写像の像)の幾何学的関係を調べ,その結果をGalois群として二面体群を持つGalois被覆の構成に利用した.さらに,その具体的応用として,既約成分が2次曲線のみからなる Zariski N 組の構成に成功した.この成果は坂内真三との共同研究であり,論文 On the Abel-Jacobi map for bisections of rational elliptic surfaces and Zariski N-plets for conic arrangementsとまとめた後,現在投稿中である.2. 1にある論文にある「様々なGalois被覆の存在・非存在を同時に考える」というアイデアを押し進め,その応用として,Zariski 4つ組を構成した.Zariski 4つ組を与える曲線の構成は1にある論文の手法を基にしているが,射影平面と可約な平面代数曲線Bのペアのトポロジーを区別するのにGalois群を固定し,Bの既約成分のいくつかに沿って分岐するGalois被覆すべての集合を不変量とする視点は新しいものである.この視点はAlexander多項式を用いても定式化されることがわかっておりさらなる応用が期待される.この成果は坂内真三,川島正行との共同研究であり,論文On the topology of the complements of reducible plane curves via Galois coversとしてまとめた.
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