研究面においては、これまでの仮想構造定数は、2点付きのquasi-mapのモジュライ空間の交点数として構成されていたために、2点関数でなければならなかったのだが、2+n点付きのquasi-mapのモジュライ空間を定義することに成功し、2+n点関数としての仮想構造定数を構成することが出来た。この仮想構造定数の母関数を考えると、これまでケーラー類に関する変形パラメーターを含むミラー写像しか構成できなかった制約が取れて、広いクラスのコホモロジーの変形パラメータを含むミラー写像を構成できるようになる。そのため、一般ミラー変換の計算が著しく簡単になる。この構成を複素射影平面のグロモフ‐ウィッテン不変量の計算に応用し、特に複素射影平面の開弦に対するグロモフ‐ウィッテン不変量を求めた。また、この結果を2013年3月に京大で行われた日本数学会において発表した。 研究の発表については、これまでの成果を、2012年12月7日に北大で行われたソウル大とのジョイントシンポジウム:「幾何とトポロジーの関連分野における最近の進展」において発表した。また、ブルガリアのバルナで開催された国際研究集Lie Theory and its Applications in Physics での発表内容を論説にまとめたものを、シュプリンガー社から発行された同会議の報告集に掲載した。 また、九州大学と合同で行われた札幌福岡幾何学セミナーの世話役を担当し、科研費を用いて、運営の際の学生の雇用や必要な物品を購入した。
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