研究課題/領域番号 |
22540062
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
川村 一宏 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40204771)
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キーワード | 力学系 / 荷重合成作用素 / 固有値 / 群作用 / independence complex / Bo@artite Relation Theorem |
研究概要 |
1.コンパクトハウスドルフ空間上の離散力学系に対して、それが誘導する荷重合作用を考察し、特別な荷重のなすアーベル群Wを定義した。このアーベル群は力学系の1次元チェックコホモロジー上への作用の仕方及び測度論的1コサイクルの両方を情報を担っていることがわかる。これを円周上の位相推移的写像・無理数回転など典型的な力学系にたいして考察し、Wを第2項として持つ短完全系列を得た。さらにこの結果をコンパクト空間上の離散群作用に適用し、1サイクルのなすアーベル群を得た。Gromovの意味での双曲線が、1次元連結コンパクト空間を理想境界に持ち、かつ非自明融合積で表せないなら、その境界はシェルピンスキィガスケットまたはメンガースポンジと同相であることが知られている。この様な双曲群に対して結果を適用し、幾つかの結果を得たが、ここで現れるアーベル群が巨大であるために、その明示的決定には至っていない。 2.有限胞体的複体に対しそのindependence complexを定義し、簡単な複体に対するindependence complexのホモロジー群を決定した。論文は現在準備中である。更に計算機実験によって4次元単体のindependence complexのホモロジー群に対する予想を得たが、未だ証明には至っていない。 3.位相的組合せ論で古典的に知られているBipartire Relation Theoremを精密化するためDowker-Mather複体と呼ばれる複体を導入した。これによってBipartire Relation Theoremが見通しの良いものとなり、その結果ホモロジー論的類似を得ることができた.得られた結果をclique complexに適用することによってLarrion,Pizana,Villarroel-Floresによって得られていた基本群に関する結果を、高次元ホモトピー群に対して拡張することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたcell-like mapが連続関数環に誘導する準同型についての研究が進展していない。 dendrite上の連続関数環がC*環のカテゴリーで射影的であることを用いて、1次元空間上の連続関数環上でのシェイプ理論を構築する研究もさしたる進展を見ていない。
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今後の研究の推進方策 |
上の達成度を鑑みて、まずは1次元空間コンパクトハウスドルフ空間上の連続関数環についてのシェイプ理論について考察する。次にcell-like mapおよびsoft mapが誘導する準同型についての代数的考察を行う。 またCoxeter群の理想境界への群作用力学系的に応用できるような枠組みを模索する。そのためのアイディアを得るために、イスラエルへの研究交流出張を予定している。また研究関数環研究者との研究集会は例年通り開催予定である。
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