研究課題/領域番号 |
22540065
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加藤 久男 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70152733)
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キーワード | カオス / box次元 / coloring / 幾何学的トポロジー / 拡大同相写像 / 拡大定数 / フラクタル / flow |
研究概要 |
本研究の目的は、トポロジーの主な研究対象である可分距離空間とその上の連続写像の力学的・幾何学的性質をトポロジー・位相力学系理論・エルゴート理論を駆使して総合的に研究し、カオス力学系に現れる複雑な不変集合の幾何学的構造を明らかにすることである。更に、位相力学系と幾何学的トポロジーおよび位相空間論の方法論を融合して、可分距離空間の原理的な構造を解明することである。一般に、連続写像の力学系は複雑なトポロジーを導くことが知られている。アトラクターをはじめとする不変集合は大変複雑な構造をしている場合が多く、そうした複雑なコンパクト距離空間の幾何学的構造は大変興味深い研究対象である。23年度は、空間の幾何学的構造の研究、および連続写像のカオス力学系理論からの研究を行い、以下に挙げる大きな成果を得た。 (1)幾何学的トポロジーの研究に関して、空間の距離の構造とbox-dimensionとの関係を完全に決定する定理を証明した。 (2)写像のColoring数については多くの先行研究があるが、本研究では新たにEventual coloring数を定義し、多くの新しい定理を発見した。 (3)位相力学系研究においては、任意に与えられた可算個の無限軌道を実現する離散力学系、連続的力学系の存在を証明した。 (4)拡大的同相写像と分解不可能連続体の関係について最も一般的な定理を得た。 これらの成果は、幾つかの研究集会で発表され、Topology Appl.およびJ.Math.Soc.Japanなどの国際的な数学雑誌に掲載、または掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の研究集会での十分な研究討論・連絡が行えている。また、研究資料など十分に活用できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、国内外の研究集会に積極的に参加し、研究発表、研究討論・連絡を行う予定である。
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