研究概要 |
微分可能写像の特異点理論を用いて、多様体のトポロジー(または微分トポロジー)を研究することを目標にしてさまざまな題材を扱った。 まず、多様体間のなめらかな埋め込み・はめ込み理論の幾何学的様相を研究した:2次元球面から4次元空間への自己横断的なはめ込みfであって、n個の横断的2重点を持つものを考える。fの法バンドルはオイラー類が2nの2次元円盤ベンドルであるから、その同伴束はオイラー類が2nのサークルバンドルである。すなわち、レンズ空間L(2n, 1)から4次元空間へのはめ込みが得られることになる。このはめ込みにさらに3次元球面からの普遍2n重被覆を合成すると、3次元球面から4次元空間へのはめ込みFが得られる。このはめ込みFが表す正則ホモトピー類とボルディズム類をnの式として表現することに成功したTobias Ekholm氏(スウェーデン)と共同研究を論文にまとめ、ロンドン数学会のジャーナルに公表した。 また、n次元多様体から(n+1)空間への折り目写像のコボルディズム類がなず群は自然に球面のn次安定ホモトピー群と同一視されることが知られているが、球面の安定ホモトピー群の中に自然に定義される合成と戸弧積に対応する、折り目写像の中の幾何的操作について、平戸良弘氏(長野工業高等専門学校)と共同で研究し、共著論文としてプレプリントにまとめた。 さらに、7次元多様体の余次元1のはめ込みがなすコボルディズム群について研究し、与えられたはめ込みに対して、特異点を持つ写像によるその拡張の特異点情報から、コボルディズム類を読み取れることを明らかにし、単著論文としてプレプリントにまとめた。
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