研究課題/領域番号 |
22540074
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
高瀬 将道 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (30447718)
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キーワード | 微分可能写像 / 特異点 / はめ込み / Thom多項式 / 結び目 / 戸田括弧積 / 折り目写像 / ボルディズム |
研究概要 |
微分可能写像の特異点理論を用いて、多様体のトポロジー(あるいは微分トポロジー)を研究した。その中で、高次元トポロジーの道具と低次元トポロジーの精神の良い部分を取り、さらに微分トポロジーと代数的トポロジーの融合を目指すことを目的とした。 2次元球面から4次元ユークリッド空間への自己横断的なはめ込みfで、2重点をn個持つものを考える。fの法バンドルはオイラー類2nの2次元円盤バンドルであるから、その同伴東はオイラー類2nの円周バンドルである。すなわちレンズ空間L(2n,1)から4次元空間へのはめ込みが得られる。さらにこれに3次元球面からの普遍2n重被覆を合成すると、3次元球面から4次元空間へのはめ込みFが得られる。このFの正則ホモトピー類とボルディズム類を決定し、スウェーデンのTobias Ekholmとの共著論文として田版した。 n次元多様体からn次元空間への折り目写像のボルディズム群は球面のn次安定ホモトピー群に同型である。安定ホモトピー群に定義される合成および戸田括弧積に対応する、折り目写像の操作を幾何的に定義した。これにいくつかの考察を加え、長野工業高等専門学校の平戸良弘氏との共著論文として田版した。 有向7次元多様体から8次元空間へのはめ込みのボルディズム類を、そのはめ込みを有向コンパクト8次元多様体からのジェネリック写像に拡張する際に現れる特異点の情報から読み取る公式を与えた。これを論文にまとめ提出し、受理された。この論文はThom多項式の相対版を定式化する試みを少し含んでいる。 古典的結び目の図式に対して、その種数を減らすある変形を定義し、考察した。主要なアイディアはTuraevが近年導入したknotoidから来ているが、主定理の証明には仮想結び目を用いた議論が必要となった。信州大学の大黒顕司氏と境圭一氏との共著論文として提出し、受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
元々達成度が測りにくい研究、目的であるから、満足であるとは言いきるのは常に難しい。しかしながら、明らかに予想していなかった共同研究の発展など一部で計画以上の進展があったことと研究発表の事情が順調であることを考慮して「おおむね順調に進展している」と自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところはおおむね順調に進展していると自己評価しているので、今後もおおむね順調に進展させるべく、これまで通り健康に留意しながら多くの研究者との交流を大切にし、独自の研究を推進する。
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