微分可能写像の特異点理論を用いて、多様体のトポロジー(あるいは微分トポロジー)を研究した。その中で、高次元トポロジーの道具と低次元トポロジーの精神の良い部分を取り、さらに微分トポロジーと代数的トポロジーの融合を目指すことを目的とした。 2次元球面から4次元ユークリッド空間への自己横断的なはめ込みから作られれる、3次元球面から4次元空間へのはめ込みの族を定義し、各はめ込みの正則ホモトピー類とボルディズム類を決定した。スウェーデンのTobias Ekholmとの共著論文として出版した。 n次元多様体からn次元空間への折り目写像のボルディズム群は球面のn次安定ホモトピー群に同型である。安定ホモトピー群に定義される合成および戸田括弧積に対応する、折り目写像の操作を幾何的に定義した。これにいくつかの考察を加え、長野工業高等専門学校の平戸良弘氏との共著論文として出版した。 有向7次元多様体から8次元空間へのはめ込みのボルディズム類を、そのはめ込みを有向コンパクト8次元多様体からのジェネリック写像に拡張する際に現れる特異点の情報から読み取る公式を与えた。これを論文にまとめ単著論文として出版した。この論文はThom多項式の相対版を定式化する試みを少し含んでいる。 古典的結び目の図式に対して、その種数を減らすある変形を定義し、考察した。主定理の証明には仮想結び目を用いた議論が必要となった。信州大学の大黒顕司氏と境圭一氏との共著論文として出版した。 九州大学大学院の佐伯修氏との共同研究として、多様体からユークリッド空間へのスペシャルジェネリック写像がはめ込み・埋め込みに持ち上がるための条件を研究し、値域が1次元または2次元の場合に包括的な結果を得た。証明中で用いたテクニックには、エキゾチック球面の群、inertia群、Schottky群などが顔を出した。共著論文として出版した。
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