研究概要 |
重み付き一般化されたケーラー構造と一般化された佐々木構造 一般化されたケーラー構造はノン-ケーラーでありながら、(一般化された意味で)ホッジ分解が成立し、また数理物理において、N=(2,2)超対称シグマモデルにおけるターゲット空間のもつ幾何構造であることが示されている.また、双エルミート構造と同値な幾何構造である.一般化されたケーラー構造はその重要性にもかかわらず、自明な例以外ほとんど得られていない状況であったが、著者の研究により、コンパクトなケーラー多様体上に正則なポアソン構造があれば、変形理論により、非自明な一般化されたケーラー構造が得られることが示された. R.Goto, "Deformations of generalized complex and Kaeher structures", J.Differential Geometry, Vol.84, No.84(2010)pp.525-560. 一般化された複素構造、一般化されたケーラー構造は偶数次元多様体上の幾何構造であり、奇数次元多様体上の一般化された幾何学は現在まだ、未開発の状態である. 今年度は奇数次元多様体上の一般化された幾何構造について研究を進めた.奇数次元多様体上の代表的な幾何構造として接触構造、概接触構造、佐々木構造がある.これらはそれぞれ、コーン多様体上のシンプレクティック構造、概複素構造、ケーラー構造にそれぞれ対応する.この対応に基づき、ピュアスピノルを用いて、奇数次元多様体上に一般化された接触構造、また一般化された佐々木構造を定義した.上記、正則なポアソン構造を使った変形理論を適用することにより、非自明な一般化された佐々木構造を構成した.
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