研究概要 |
本研究課題は幾何的3次元多様体に関するものであり,特に平成22年度は,幾何構造を持つ3次元閉多様体Mの微分同相群のホモトピー型および位相型について研究した,Isom(M)をMの等長写像全体の作る群とし,isom(M)をM上の恒等写像Id_Mを含むIsom(M)の連結成分とする.また,Diff(M)をM上のC^∝級微分同相写像全体の作る群,diff(M)をId_Mを含むDiff(M)の連結成分とする.このとき,Smaleは任意の幾何構造を持つ3次元閉多様体Mに対し,包含写像isom(M)→diff(M)はホモトピー同値写像であろうと予想した,この予想は,MがHaken多様体のときは,N. Ivanov (1976), A. Hatcher (1976)によって独立に,3次元球面S^3の場合はA. Hatcher (1983)によって,双曲多様体の場合はD. Gabai (2001)によって肯定的に証明された,したがって,Smale予想でまだ未解決なのは,MがSeifert多様体の場合のみである。基本群π_1(M)が有限のSeifert多様体のとき,S. Hong, J, Kalliomgis, D. McCullough等によって部分解が得られているがまだ完成には至っていない.本研究では,π_1(M)が無限のSeifert多様体の場合を考えた.特に,D. McCullough氏(Univ. of Oklahoma)との共同研究で,Mが双曲底軌道面を持つSeifert多様体のときは,肯定的な解が得られた,さらに,Diff(M)の位相型も決定できた,平成23年度は,Seifert多様体多様体の底軌道面がEuclid構造を持つ場合のSmale予想の解決を目指す また,桐木紳(京都教育大学),M.-C.Li氏(国立交通大学,台湾)との共同研究で,Henon写像族{f_<a,b>}のresidualな部分集合Rで,性質「任意のf_<a,b>∈Rは,SRB測度をもたない不変集合と,SRB測度をもつストレンジアトラクター同時に持つ」をもつものが構成できた
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