研究概要 |
研究代表者は1編の論文を出版し、もう1編は出版予定となっている。出版されたものは「Abasis for the space of modular forms, Acta Arithmetica, 151(2012), 421-427」である。これは重みが一定の保型形式のなすベクトル空間の基底を明示的に与えるものである。従来、基底は重み4と6のアイゼンシュタイン級数のべき乗を用いて表されてきた。これだとそのフーリエ係数は大変複雑なものになってしまう。代表者は(重みは大きくなるが)2つのアイゼンシュタイン級数の積として表せる基底を、作り出すことに成功した。これだとフーリエ係数は約数関数の積の和として、簡単に表すことができる。また、尖点形式に関しても同様の結果を証明している。 出版予定になっているのは論文「A basis for S_k(Gamma-0(4)) and represent a ions of integers as sums of squares, Ramanujan J., To appear」である。この論文は代表者とYifan Yangとの共著である。この中で著者達は、保型形式のなす空間M_k(Gamma_0(4))および尖点形式のなす空間S_k(Gamma_0(4))の基底を陽に与えている。その結果としてテータ級数の4の倍数乗をアイゼンシュタイン級数を用いて表す公式を得ている。さらにその系として、整数を4k個の整数の平方の和で表す方法の数に関する明示式を得ることに成功している。これは8k個の整数に関するImamoglu-Kohnenの結果を一歩前進させたことになる。 研究分担者は、バシリエフ不変量と局所変形の関係にかんする研究を継続しており、研究成果をまとめる準備をしている。
|