研究課題
2つの結び目あるいは仮想結び目が局所変形で移りあう場合、移りあうために必要な局所変形の最小回数は距離の公理を満たし、その局所変形で移りあう結び目や仮想結び目の集合は距離空間となる。研究目的の1つに、結び目や仮想結び目に対して、局所変形による距離空間の性質を調べることをあげていた。仮想結び目正則表示とは、実交点だけでなく、仮想交点をもつ結び目正則表示のことである。仮想結び目正則表示の一般ライデマイスター移動での同値類を仮想結び目とよぶ。仮想結び目は、一般の結び目を拡張した概念ということができる。任意の2つの仮想結び目正則表示は、交差交換で移りあうとは限らない。仮想結び目表示が交差交換で移りあうとき、その仮想結び目はhomotopicであるという。仮想結び目のhomotopy classの交差交換による距離空間を考える。n次元ユークリッド空間の格子点を頂点とし,ユークリッドの距離が1の2点を辺で結んだ無限グラフをn次元格子グラフと呼ぶ。仮想結び目の局所変形Mによるn次元格子とは、頂点が仮想結び目をあらわし、2つの頂点のグラフでの距離が局所変形Mによる距離に一致するn次元格子グラフのこととする。ここで、頂点のグラフでの距離とは、2つの頂点を結ぶ最短パスの辺の数を意味する。仮想結び目における n writheと呼ばれる不変量を用いて、以下の結果を得ることができた。この結果は堀内澄子氏との共同研究である。任意に与えられた自然数Nと仮想結び目Kに対して、Kを頂点とする交差交換によるN次元格子が存在する。仮想結び目のhomotopy classの交差交換による距離空間が部分空間として、N次元格子を含むことになり、この空間が限りなく大きなものであることがわかる。仮想結び目の局所変形による距離空間が、部分空間として他のどのような幾何学的構造を持つのか、今後の課題である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Knot Theory and its Ramifications
巻: Vol.22, 1350051 ページ: 11
10.1142/S021821651350051X
http://lab.twcu.ac.jp/ohyama/