研究概要 |
本研究においては,ユークリッド空間の平均曲率一定曲面,3次元双曲型空間の平均曲率一定曲面,ガウス曲率一定曲面およびそれらを一般化した線形ワインガルテン曲面を主に研究した.扱った曲面は特異点を許容するもので,大域的研究においてはとくに,曲面と言うよりはむしろ波面と呼ぶのが適切なものである.曲面から波面に一般化することで,弱完備性,余向きづけ可能性といった,正則曲面にはない新たな概念が生まれ,研究すべき事柄が豊富になる.得られた成果として次の(1),(2)などが挙げられる.(1)3次元双曲型空間の平均曲率から1を引いたものとガウス曲率が比例するようなワインガルテン曲面(通称BLW曲面と呼ばれ,線形ワインガルテン曲面の中でも重要と思われるもの)についても,その双対と解釈されるドゥジッター空間のBLW曲面との関連性を見出した.(2)3次元双曲型空間の平均曲率1の曲面の重要な例であるカテノイドカズンについて,それがある条件を満たしているものについては,平均曲率1をもつまま大域的に別の等長はめ込みをもつことを示した.ここで言うある条件はそれ程強いものでなく,実際その条件を満たすカテノイドカズンは可算無限個ある.(この内容について,論文執筆を始めた.) 以上の内容に関してブルガリア・ソフィアのBulgarian Academy of Sciencesで開催された国際研究集会およびスペイン・グラナダのGranada Universityで開催された研究集会で講演を行った.
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