本年度は研究分担者である塚本達也氏に加え,本学に所属する岸本健吾氏に協力していただき,これまでの2年間で導入・研究し発表した単純リボン操作の拡張である単純リボン融合について研究した. 特に.自明な結び目から単純リボン融合によって得られた結び目の素性について研究した.本研究は先行の単純リボン操作についての研究を拡張したものであるが,単純リボン操作の場合はある一定の自然な例外とスクエア結び目になる場合を除いて素になるのに対し,単純リボン融合の場合はこれらに加えさらに8の字結び目2つの連結和を除く必要があり,単純リボン操作との非自明な違いが見られた.また,スクエア結び目を与える単純リボン操作は本質的に一種類であったのに対し,スクエア結び目(8の字結び目2つの連結和も)を与える単純リボン融合は本質的に二種類あることも分かった. さらに単純リボン操作の場合は自明な結び目から得られる結び目に対してのみの結果であったが,本年度の研究では素な結び目から単純リボン融合で得られる結び目に対しても同様の結果が得られることも示した. また,本研究は平成24年12月にジョージ・ワシントン大学(アメリカ合衆国)で開かれた国際的な結び目理論の研究集会において研究分担者である塚本達也氏が発表し,多くの質問・助言を得ることができた.これらの助言も参考にし,現在得られた結果を論文にまとめており,完成し次第専門誌に投稿する.
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