研究概要 |
既約ルート系の概念を拡張した対称三対を定義した.対称三対が与えられたEuclid空間に全測地点,正則点,Affineワイル群を定義した.正則点全体のなす集合の連結成分をセルと呼ぶとAffineワイル群がセルの全体に推移的に作用することを示した.セルが単体と同一視されることを示し,セルを層分解した.重複度付き対称三対を定義し,austere点,極小点を定義した.このときセルの各層にただ一つの極小点が存在することを示した.重複度付き対称三対の分類とaustere点,全測地点の分類を行った.これらの結果を以下に述べるように応用した.compact単純Lie群上に互いに可換な二つの回帰的自己同型写像が付随しているとき,compact対称空間へのイソトロピー群の作用の一般化としてHermann作用が定義できる.Hermann作用が超極作用になることを利用して,Hermann作用から重複度付き対称三対を構成した.Hermann作用の軌道空間は重複度付き対称三対から定まるセルと同一視されることを示した.従って軌道空間は層分解される.このとき,セルの点のHermann作用による軌道が正則,全測地的軌道,austere軌道,極小軌道になるための条件はそれぞれその点が正則,全測地点,austere点,極小点になることを示した.したがって可換なHermann作用の軌道空間の性質が詳しくわかったことになる.
|