研究課題
1.弾性テンソルが自由境界面から深さ方向に変化する不均質弾性体は,自由境界面近傍を伝播する弾性表面波(Rayleigh波)の位相速度が周波数に依存する分散現象を有する.本研究ではRayleigh波の速度が,境界面での変位と表面力との線形関係をあらわす行列 サーフェス インピーダンスの特異点となる事実を基礎に,弾性テンソルに含まれる非等方性(残留応力による非等方性も含む)がサーフェス インピーダンスの周波数に関する漸近展開式の第1項にどのような摂動を及ぼすかを一次摂動公式にて表現した.この第1項は,弾性テンソルを境界表面での値に固定してできる斉次非等方弾性体のサーフェス インピーダンスに対応する.漸近展開式の第2項以下に対しても,第1項と弾性テンソルの非等方成分の法線微分をもちいて帰納的に求める手続きを与え,それらの特異点を計算することで,Rayleigh波速度の高周波漸近展開式(分散公式)を導出する手続きを具体化し,数式処理にて実行した.以上の結果は,未だ完成されていない非等方性弾性体におけるRayleigh波分散の厳密な数学解析に寄与するものであり,現在,理論力学関係の国際誌に投稿する段階である.また得られた精密な順問題解析を,個々の代表的な非等方弾性体に適用し,分散現象の観測から弾性テンソルの不均質を同定する逆問題に対する数学解析を計画している.2.異なる2つの半無限非等方弾性体が界面をとおして接続されているとき,界面の近傍では,界面での種々の境界条件に応じて,界面から両法線方向に指数減衰する亜音速の界面波(Stoneley波,Slippery波)が存在する.両側の斉次弾性テンソルの非等方成分(残留応力項も含む)が,これらの界面波の伝播速度にどのような摂動を及ぼすかを公式にて表現した.以上1,2の結果を国際会議(招待講演を含む)にて発表した.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Workshop on Boundary Phenomena for Evolutionary Partial Differential Equations, Abstract and Program
巻: - ページ: 8-8