研究概要 |
今年度の研究成果は次の通りである. (1)領域のデジタル的近似法の研究 デジタルカラー画像は極微小な正方形のピクセルから構成され,各ピクセルはアドレスとカラー(R,G,B)の輝度値を有する.今年度は,このアドレスと輝度値を用いて領域をピクセルで近似する方法を定式化した.これは正方格子を基に数値計算する有限差分法にとって大変に重要な点である. (2)デジタル画像を用いた仮想領域法の研究 有限差分法と画像処理を併用した数値計算アルゴリズムの開発を進めた.いままでの数学解析における仮想領域法では、R.Glowinskiなど多くの研究者はLagrange multiplierを用いたモデリングと数値計算ではLagrange multiplierを数値的に確定するための反復法を用いることが多かった.しかしながら,本研究では,J.L.Lionsの補助領域法とピクセル情報を用いる有限差分法がかなり良く整合できることを提起した.これは数学解析の視点から有益である. (3)環境数理問題への応用 環境数理問題(産業廃棄物中の地下水流れの数値シミュレーション)に関して,上記(1),(2)との関連で,デジタルカラー画像を地層の分布に適用し,ボーリング調査によるピエゾ水頭とほぼ同じ値が数値計算ででることを示した。今後,この方法を環境予測のための数値計算法の開発に進める.
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