研究概要 |
背景 1998年に楠岡成雄は確率微分方程式で記述される拡散過程の高次弱近似の理論を提案した。これを楠岡近似と呼ぶ。楠岡近似を具体的に可能にするアルゴリズムの構成とその応用、特に数理ファイナンスに現われる様々な問題の場合に適用可能なものの構成が本研究のテーマである。我々はこのテーマに関して最も単純な場合、すなわち拡散過程X(t,x)に対してE[X(1,x)]を求める場合については、Algorithm-1 [Ninomiya,Victoir(2008)]およびAlgorithm-2 [Ninomiya,Ninomiya(2009)]という二つのアルゴリズムを得ている。近年、[Fujiwara],[Oshima,Teichmann,Veluscek]によりAlgorithm-1の一般的な外挿の理論が提案され、任意の次数のアルゴリズムがこれによって得られることがわかっている。 平成22年度の研究成果 Algorithm-2を外挿法に依らずに更に高次に拡張することを目標として研究を行なった。[Ninomiya,Ninomiya(2009)]の結果を用いることにより、高次のアルゴリズムを構成するパラメータが満す代数方程式を具体的に構成し、その性質を調べた。最終的には具体的にその代数方程式を解くことが目標である。
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