研究概要 |
背景: 1998年に楠岡によって提案された確率微分方程式の高次弱近似理論(以下楠岡近似)を具体的に可能にするアルゴリズムの構成(特に重要なのは数理ファイナンスに現われる問題に適用可能なもの)が本研究のテーマである. 我々はこのテーマに対し満期が一時点の場合については二つのアルゴリズムを得ている.平成23年度には(1)バリアオプションと呼ばれる経路依存性のあるデリバティブの価格計算の場合の高次弱近似アルゴリズムの有用性の確認. (2)我々が発見したアルゴリズムともとの確率微分方程式を測度変換による変形を組み合わせるとさらに計算速度を向上させることが可能になるというFriz-Bayer-Loeffenらによる最近のアイディアを更に発展させることの可能性, の二つのあらたな進展を得た. 平成24年度の研究成果: 上記(1)について論文をまとめている. その過程で数値実験において非常に高い精度の計算が必要であることが判明したため, 再びプログラムを構成し多量の計算資源を投入して大規模な数値計算をやり直した. 上記(2)について, 我々の得た方法は測度変換の枠をはみ出したものである為誤差が生じる. その誤差の理論的な評価を行なっている最中である. 更に本年度は楠岡近似の新たなアルゴリズムの構成のためにさらに高次のモメント一致族の構成方法を研究した. これについては部分的な成果を得ている.
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