研究概要 |
時定数τを持つ2成分反応拡散系で,フロント進行波とバック進行波の相互作用と同時に非一様性との相互作用のダイナミクスを記述する縮約系の導出を考察した。第一成分は遷移層を持っているので,フロント進行波-バック進行波の相互作用は弱いと考えられるが,第二成分は遷移層を持たない解なので,フロント進行波-バック進行波の相互作用は強くなり,この取り扱いか問題となっている。 本研究では,論文P.H.Heijster,A.Doelman,T.Kaper and K.Promislow,Front interaction in a three-component system, SIAM J.Appl.Dyn.Syst.9(2010),292-332.を参考にし,くり込み群の手法を用いて,相互作用のダイナミクスを記述する縮約糸を導出した。しかし,理論的には一部,証明に不十分な点があるが,元の反応拡散系の数値計算と導出した縮約系はぴったりと一致することを確認した。時定数τの値を小さくすると,フロント進行波-バック進行波の相互作用にも関わらず,脈動定常パルス解が現れる。これと空間的非一様性との相互作用の強さに応じて,脈動定常パルス解が持続したり,持続出来ずに2つのフロント進行波とバック進行波に再分裂するなどのダイナミクスが観察される。これらの描像のダイナミクスを縮約系を用いて解析した。時定数τの値をもう少し小さくすると,パルス進行波が現れるがこれらは不安定解となっている。 連携研究者は,栄伸一郎(九州大学),小川知之(大阪大学),村川秀樹(富山大学)の各氏である。
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