研究概要 |
当該年度の研究実施計画の(2)にみるように,4-interval exchange変換上のRauzy inductionを通して現れる4文字のsubstitutionを課題とする研究を行った.このsubstitutionから決まる行列は,non-Pisot,既約,さらに総実であることが一般的である.このようなsubstitutionの中から,A→ABD,B→ABBD,C→ABDCCD,D→ABDCDなるsubstitution σ選び,これまでのように行列不変な拡大及び縮小する二つの平面上に,標準ベクトルの射影から生成される6個の平行四辺形によるquasi-periodicなタイリングを生成することに成功した.またrenormalizeすることにより,Rauzy fractal領域の存在も確認できた.この成功は,総実でない4次non-Pisotの行列に対して得られたタイリングの結果を,総実の場合のタイリング問題へと拡張できた点で価値がある.成功した議論が,4-interval exchange変換から導出されるもっと広い総実のクラスでも通用するか,現在も試している.なお,この結果は,京都大学数理科学研究所講究録「準周期秩序の数理」に報告としてまとめた.(共著者:P.Arnoux氏(Luminy大),古門氏(横浜国大))
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