研究概要 |
本年度は、当該年度の研究実施計画(2)にみるように、4-interval exchange変換族上のRauzy inductionを通して現れる4文字substitutionの解析に取り組んだ。このsubstitutionは、その行列の固有値がnon-Pisot,既約、totally realとなる場合が多い点で、また標準的な14種の4文字substitutionの積によって生成されている点で、特徴的である(この14種のsubstitutionをgeneratorと呼ぶ)。 その結果、generator 8個からなるsubstitutionから生成される8種類のsubstitutionσ_iの列(i=0,1,…,7)について、Lσ_i-不変縮小平面上に、(平行四辺形ではなく)平行四辺形のブロッキングからなる多角形によるquasi-periodicなタイリング、そして、self-affineなタイリングの構成を、いわゆるタイルの裏向き問題を克服しながら、それぞれ明らかにすることに成功した。さらに、σ_iから生成される多角形によるquasi-periodicタイリングの隣り合うタイリング間の関係も解明した。 この結果は、non-Pisot,既約、unimodular, totally realなsubstitutionにおけるquasi-periodicタイリングの存在の例を新たに提示することに成功した点で、またさらに新しい例が考案される可能性を示唆した点で意義あるものである。
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