研究概要 |
本研究では,不動点定理・不動点理論に関する非線関数解析学・凸解析学の基礎理論を体系的に構成する研究を行ってきた.さらに不動点理論・不動点近似の立場から非線形最適化問題,均衡問題を再構成し,不動点の存在・不動点近似の研究をすすめるとともに,非線形最適化問題,均衡問題の解への収束定理の確立を目指して研究してきた.特に平成22年度は不動点集合が空でないという仮定なしでの不動点近似点列のwell-defindnessの研究,さらにその点列が空でないための必要十分条件の研究に力を入れてきた.その他にpseudo-contractive mapping,Hybrid写像などの均衡問題・非線形最適化問題には有効と見込まれる写像の基礎性質や基礎定理の研究からはじめ,viscosity approximation methods等の不動点近似法によって,それら写像の不動点へ,さらにそれらの写像族の共通不動点への強収束定理を導く研究に力を入れてきた.これらに関し,いくつも有効な研究成果を得ることができ,平成22年度中に国内外の雑誌に論文掲載されたもの,印刷中のもの・論文掲載が決定しているものがある,その主なものとしては以下の研究成果がある.Banach空間におけるpseudo-contractive mappingに対してviscosity approximation methodsを適用し,不動点への強収束定理を示し,またそれが変分不等式の解への強収束定理にもなっている形の定理を示した。さらに,均衡問題・非線形最適化問題には有効とみなされる条件をみたすpseudo-contractive mappingの族に対してもviscosity approximation methodsを用いることで,共通不動点へ,および変分不等式の解への強収束定理を示した.また,これらの成果は国内外の雑誌で公表されたり,国内外の研究集会で発表して大変関心を持たれた.これらの事は,本研究が順当に進み,成果をあげられたことを裏付けているといえるし,今後の発展的な研究に結びつくことも裏づけているといえる.
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