研究概要 |
本年度は、(1)Suslin latticeに関する研究(2)PFA(S)に関する研究の二点の研究を行った。 (1)Suslin latticeとは、不可算なchainもantichain (pairwise incomparable elements)を持たないuncountable well-foundedなupper lower-semilatticeのことを指す。CHから存在することが言えるかが最も大きな焦点であるが、とりあえず、diamondから存在が言えることだけは証明できた。Dilip Raghavan (University of Toronto)との共同研究。この論文は投稿中である。 (2)PFA(S)はStevo TodorcevicがMartin's Axiomのfragmentsに関する未解決問題と、S-spaceの存在とpseudo-intersection numberの関係に関しての問題の二つを解決するために導入した強制公理の一つである。前年度は、「全てのAronszajn treeがclub-isomorphicである」ことがPFA(S)[S]で成立することを証明した。本年度は、(2-1)さらなる組合せ的命題がPFA(S)[S]でどう結論づけられるのかを研究し、さらに(2-2)S-spaceが存在するか、というTodorcevicの元々の動機の一つについても研究した。(2-1)については、PFA(S)[S]での実数上の基数不変量の値をほぼ全て決定し、さらに「omega_2 Aronszain treeが存在しない」ことがPFA(S)[S]の元で結論づけられることを示した。これはDilip Raghvan(神戸大学,日本学術振興会外国人特別研究員)との共同研究である。この論文は数理解析研究所講究録に掲載予定である。(2-2)について、Todorcevicは「compact S-spaceが存在しない」ことがPFA(S)[S]の元で成り立つことを示していたが、それ以外にも「ground modelにbaseを持つS-spaceが存在しない」ことがPFA(S)[S]で成立することを示し、Todorcevicの結果ではカバーできない結論を得た。この論文は現在投稿中である。
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