研究概要 |
平成22年度に実施した研究の成果は次の通りである。 1. 3次元以上のユークリッド空間内の2個の無限錘からなる閉領域上の反射壁ブラウン運動の時間変更過程が無限遠に到達以後に対称マルコフ的に拡張される可能な仕方は4種類あり、しかもそれに限られることを証明した。これにより、本年度の「研究実施計画」がk=2の典型的場合に完全に達成され、より一般な場合への着実な手がかりが得られた。 2. Bass等によって研究されてきた非対称な安定型過程を含むような飛躍型マルコフ過程の広いクラスを、対応する必ずしも非負定値でない非対称ディリクレ形式を用いて構成することに成功した。 3. 平面上の多重連結領域から標準裁線領域への等角写像をかがりブラウン運動(Brownian motion with darning, BMD)を用いて構成することに成功した。更に多重連結領域上の小松-Leowner微分方程式がBMDの複素ポアッソン核によって表されることを証明した。これらは複素関数論と確率過程論の深いつながりを明らかにするものである。
|