研究課題/領域番号 |
22540126
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白旗 慎吾 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (10037294)
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キーワード | 確率密度関数 / 2乗積分 / kernel関数 / 平均2乗誤差 / U統計量 / 超音波データ / 回帰分析 / チェビシェフ多項式 |
研究概要 |
本研究の目的は、説明変数により目的変数を説明する回帰関数の推定、および確率密度関数およびその汎関数の推定と応用である。 本年度は(1)確率密度関数の2乗の積分を推定する問題、および(2)マウスの発する超音波の解析について研究した。 (1)では、確率密度関数をkernel関数で推定する方法では、窓幅と呼ばれるパラメータhとkernel関数の2つの選択肢がある。Kernel関数は、通常考えられる関数ではあまり精度に影響しないが、hは精度に大きく影響する。単に確率密度関数を推定する場合では、平均2乗誤差を小さくするオーダーは観測値の個数nの-1/5乗であり、biasと分散は-2/5乗、-4/5乗、平均2乗誤差のオーダーは-4/5であるが、確率密度関数の2乗の積分では、それとは異なり、平均2乗誤差を小さくするhのオーダーは-1/4乗であり、平均2乗誤差はnの逆数オーダーであることを示した。したがって確率密度関数の2乗積分の推定では、通常の統計理論におけるオーダーと一致することが分かった。ただし、その厳密な証明のための仮定は厳しく、さらに緩めることを検討中である。また、数学的に証明できない部分や実際に多くのkernel関数に対する比較研究のために、コンピュータ・シミュレーションを準備中である。 (2)は、超音波の形と遺伝形質の関連の研究を目的としている。超音波のフーリエ変換値を、時間を説明変数とする観測値と見なし、その回帰関数の解析と捉える。データの性質上、バックグラウンド・ノイズが極めて大きく、かつ大量データであるため、明白に大きな値の連続する区間を統計的に選択し、チェビシェフ多項式回帰関数を当てはめ、それらの回帰関数の係数を用いてクラスター分析で分類した。超音波パターンは複雑で、さらに解析を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確率密度関数の汎関数推定において、最も重要なその2乗積分の推定で、まだ最終的証明は得ていないが、本質的な結果を得ている。また、複数の系列ではないが、超長期系列における部分回帰関数の分類における、クラスター分析の研究が進展中である。
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今後の研究の推進方策 |
確率密度関数の汎関数の推定は難しい。数学的証明を得るべく努力することは当然であるが、コンピュータ・シミュレーションを適宜組み合わせて研究を遂行する。また、実際データの解析では、単純な回帰関係を想定していたが、より多方面、すなわち、複数関数が同時に観測されている可能性等も探る。
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