研究課題/領域番号 |
22540127
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
磯崎 泰樹 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (90273573)
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キーワード | 確率論 / 揺動理論 / ポテンシャル理論 |
研究概要 |
(1)連続時間の確率過程の中では、ブラウン運動に次いで重要とされる、安定レヴィ過程を研究した。二次元安定レヴィ過程に関して、ポテンシャル理論に登場するいくつかの量を、汎関数で変形したものを解析し、それらの間の関係式を導いた。この関係式の応用として、二次元安定レヴィ過程が平面内の直線に初めて到達する場所の分布を特定した。それは、密度がレヴィ指数を含む簡便な公式で与えられるような確率分布だった。二次元ブラウン運動の場合には、平面内の直線に初めて到達する場所の分布がコーシー分布であることは、有名だったが、この公式はその場合を真に含む拡張でもあり、コーシー分布の必然性の説明をも与える。また、二次元安定レヴィ過程が平面内の半直線に初めて到達する場所・時刻・半直線の反対側での局所時間の同時分布を研究した。安定分布の指数によって決まる定積分(公式集に載っていない)を含む漸近評価を得た。 この研究成果は、学術雑誌に掲載された。 (2)更新理論は、損保リスクの解析では広く用いられている。更新理論の証明の中で重要な役割を果たす、ある測度の族の弱収束を詳しく調べた。その結果、これまで知られていたよりも広範な測度族の弱収束を得た。 この研究成果は、学術雑誌に投稿中である。 (3)一次元ブラウン運動が自然数に達するごとに、その値よりも上向きに反射されるような変更を加えた確率過程を案出し、それをラチェットつきブラウン運動と呼んだ。ラチェットは、最低保証付き保険商品にも応用されている変更の方式である。このラチェットつきブラウン運動を、スコロホッド型方程式で特徴づけることに成功した。 この研究成果は、投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「テータ級数の安定過程への拡張」は進展しないものの、揺動理論にかんする研究成果と、損保リスク理論にかんする研究成果、および保険科学にかんする研究成果が、ある程度は得られている。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」欄に(3)として挙げた、ラチェットつきブラウン運動についての研究は、進展する余地が大いに感じられる。そこで、この問題領域に、おもに取り組むことで、一層の研究成果を追求する。併せて、すでに掲載または投稿した研究成果のさらなる発展や、進展が遅れている問題領域における打開策の発見をめざし、同時並行的に、こまめに努力を続ける予定である。
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