研究課題
1.昨年度に引き続き、尺度関数、速度測度関数が退化していくような広義拡散過程の列の極限についての考察を行った。尺度関数列、速度測度関数列の極限が共通の不連続点をもつ場合に、グリーン関数の収束の視点から極限過程についての考察を行った。これにより分布の収束と極限過程の状況が明らかになり、退化する拡散項と発散するドリフト項をもつ生成作用素によって特徴づけられる拡散過程の分布の極限を確定した。2.拡散過程の局所時間の逆関数がつくる確率過程はジャンプを有するレヴィ過程である。本年度は拡散過程の調和変換として得られる確率過程に対して、ジャンプの割合を記述するレヴィ測度の密度の構造を明らかにした。3.調和解析の考え方と手法に基づいた新たな観点から、既に得られている結果の見直しを行い、汎用性のあるものを引き出した。4.集団遺伝学における代表的な確率モデルであるモラン・モデルは出生死滅過程として定式化される。このモデルは拡散モデルで近似される。この拡散モデルの強自然淘汰・弱突然変異極限として得られるマルコフ過程を、直接的にモラン・モデルの強自然淘汰・弱突然変異極限として得ることができるかの考察を行った。その結果、モラン・モデルの尺度関数と速度測度関数が一次元双一般化拡散過程の尺度関数と速度測度関数に収束することを用いて、モラン・モデルの強自然淘汰・弱突然変異極限は、対応する拡散モデルの強自然淘汰・弱突然変異極限と一致することを証明した。この結果を前年度までに得られた諸結果と総合して、学術論文として公表した。また、集団遺伝学における互助的相互作用を伴う確率モデルを解析した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Ann. Reports of Graduate School of Humanities and Sciences, Nara Women’s University
巻: 28 ページ: 1-12