集合値最適化問題とは、実社会における多様な価値観を集合値写像によって自然に表現することが可能な問題であり、集合値計画法の研究は、理論・応用の両面から発展が強く望まれている。本研究では、解を求める際に重要となる制約想定について調査し、この結果に基づいた集合値計画法の双対理論、および求解法について研究するのが目的である。集合値計画法において、意味のある形での双対理論の構築および適切な制約想定を導入し最適性条件を導くためには、凸集合の埋め込み空間(線形空間)とそこに導入する位相、および双対空間が最も重要な役割をなす。従来の集合値写像に関連する研究結果ではこの双対理論を考察していないため、理論の構築は元より、自然な定義を記述することも困難であった。このことを鑑み、平成24年度は次の研究を行った。 ●集合値の標準DC計画問題について研究を行った。有効な制約想定を提案し、解の特徴付けを行った。また一般の標準DC計画問題についてもいくつかの結果を得た。特に逆凸制約のDC計画問題に対する制約想定について研究を行い、結果を得た。 ●多目的ロバスト計画問題について研究を行った。その際の解概念が、ある集合値計画法の解に関連していることを示し、有効な制約想定を導入し、解の特徴付けに関する結果を得た。 ●求解法に関連して、良設定の集合値計画問題の研究を行った。特に、集合値写像の準凸性に関して従来の定義の欠点を見出し、埋め込み空間を用いることで自然な準凸性を定義し、解に関する拡張結果を得た。また一般の準凸計画問題に関して制約想定と双対理論について結果を得た。 ●連携研究者との意見交換、国内外の関連する研究者との研究打ち合わせを行い、研究を発展させた。また得られた結果は、研究集会・国際会議において発表を行い、本研究に対する意見を広く求めた。
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