全4年間の初年度である今年度は、動的計画法をはじめとする種々の方法で解析できる問題として、有限変数および無限変数の2次数理計画問題に焦点を絞って、その最適解の構造と特徴を抽出した。具体的には、この(主)計画問題を制約条件付き最適化問題に変換し、これに拡大ラグランジュ乗数を導入して双対問題を導いた。「条件付き問題化」と「拡大ラグランジュ乗数の導入」は本研究独自の成果である。次に、主と双対の各々についてその最適解を微分・偏微分法、行列解析法、動的計画法、変分法など多様な方法で求めた。さらに、両問題の新たな双対関係-(1)相補双対性および(2)シフト双対性-が成立することを導いた。この2つの双対性は(A)有限変数の場合はフィボナッチ最適経路、(B)無限変数の場合は黄金最適経路、上でそれぞれ成立している。「両双対性」、「フィボナッチ分割(逐次型)」、「フィボナッチ最適」、「黄金分割(逐次型)」、「黄金最適」は本研究代表者によってはじめて導入された概念である。これらは最適化理論に新たな広がりと深みを与えている。以上は(I)確定的問題に対する成果であるが、これらの成果が(II)確率的問題、(III)非決定的問題に対しても一部成立することが確かめられた。 今年度は、これらの成果を1国際会議、2日本数学会、3京大研究集会、4その他研究部会、などで報告してきた。
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