研究課題/領域番号 |
22540146
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
鈴木 登志雄 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30235973)
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研究分担者 |
隈部 正博 放送大学, 教養学部, 准教授 (70255173)
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キーワード | アルゴリズム / 応用数学 / 情報基礎 / 数学基礎論 |
研究概要 |
計算に先立って葉の集合上に全順序を固定し、その順序をもって探索の優先順位とするアルゴリズムをディレクショナル・アルゴリズム(以下、DAと略す)という(Pearl, 1980)。アルゴリズムとしてDAのみ考える場合に固有分布-意性が破れることの発見が本研究の出発点である。本年度に我々は、上記の場合においてもLiu-Tanakaの定理の弱い形が成り立つことを証明した。すなわち、葉の集合上の確率分布dがDAに対して固有分布であるための必要十分条件は「dが1-set上の分布であり、かつ、任意のDAに対してdのコストが同一」であることを示した。証明の核となる着想はノー・フリーランチ定理である。ジェネティック・アルゴリズム研究の文脈において、WolpertとMcReady(1995)は以下を示した(ノー・フリーランチ定理)「与えられた探索アルゴリズムに対し、すべてのコスト関数に対する平均効率を考える。このとき、どの探索アルゴリズムの平均効率も等しい」我々は真理値割り当ての集合であってある種の連結性をもつものを考え、このような集合の線形結合に対して一種のノー・フリーランチ定理を示した。それにより、上記の必要十分性を証明した。この結果を平成24年3月にInternational MultiConference of Engineers and Computer Scientists 2012(香港)で発表した。発表に用いた機材は本科学研究費による。一方、ある原始再帰的関数tに対するtランダム性(これは資源限定マルチンゲールによって定義される)からダウドのジェネリック性が導かれるという結果を、平成23年12月に11th Asian Logic Conference(ニュージーランド)で発表した。この発表は機材だけでなく、渡航費・参加費も本科学研究費による。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄に記したノー・フリーランチ定理を応用した議論により、交付申請書に示した23年度の研究実施計画を達成でき、それを査読付き論文の形で発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね研究計画調書の方針にしたがう。この他、並列アルゴリズムによる効率化の可能性についても理論的に検討する。
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