研究課題/領域番号 |
22540147
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
服部 久美子 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (80231520)
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キーワード | 確率論 / 確率過程 / 極限定理 / 非マルコフ過程 / 連続極限 |
研究概要 |
確率ランキング過程は、一列に並んだN個の粒子が独立に、それぞれ固有の、時間的に変化するジャンプ率にしたがって列の先頭にジャンプする(空席は他の粒子がずれることによって埋める)モデルである。 大数の法則の描像の通り、無限粒子極限において、ランダムな現象から決定論的な運動を読み取ることが出来る。現実をさらによく反映させるため、粒子によって時間依存性が異なるモデルまで一般化した理論を構成した。粒子のジャンプ分布がポアソンランダム測度で決まるモデルを構成し、無限粒子極限において、スケールされたランキングとポアソン点過程のintensity measureの結合分布の収束に関する結果を得た。 一方で、確率モデルの極限に関して新たな展開があった。いままで解析困難と考えられてきたフラクタル上のある種の非マルコフ過程に関して、厳密な解析を行う手法を開発した。以前に研究を行っていた自己回避ウォークとは、別のuniversality classに属する確率過程である。すでに連続極限の存在とその性質など、ある程度の研究がまとまりつつあり、その部分の国際学会での発表を計画している。極限定理という意味で確率ランキング過程と共通点をもつ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確率ランキングモデル自体は、現実のランキングがよりよく反映するようにモデルを一般化させるほど、難しくなり、当面できることはやってしまった感がある。一方で、23年度に起こった新しい展開である、非マルコフ過程の連続極限に関しては大きな進歩があった。出版は23年度中には間に合わなかったがプレプリントはほぼ完成している。
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今後の研究の推進方策 |
確率ランキングモデルの一般化をさらに進めることは難しそうではあるが、今後も取り組んでいく予定である。非マルコフ過程の連続極限は予想以上の展開があったので、24年度には、例えば極限の確率過程の見本路のさまざまな性質など、さらなる進展が期待できる。
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