研究課題/領域番号 |
22540148
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
宮原 孝夫 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 名誉教授 (20106256)
|
キーワード | 多次元レヴィ過程 / リスクと価値の評価 / リスク鋭感的価値尺度 / ポートフォリオの評価 / リアルオプション |
研究概要 |
本研究の目的は、数理ファイナンス理論に関連して、多次元レヴィ過程モデルを使って非完備市場または無裁定条件の成立していない市場における信用リスクやポートフォリオの価値などの評価法を確立することである。無裁定条件の成立を前提としない場合には、数理ファイナンスの理論で標準的になっている裁定理論を適用することはできず新しい価値評価法を導入することが必要である。 昨年までの研究の成果として、裁定理論によらない価値尺度の候補として「リスク鋭感的価値尺度(Risk-sensitive value measure)」が有力であり多くの優れた性質を持っていることが示されている。今年度は、この「リスク鋭感的価値尺度」をポートフォリオの評価に適用することを試み、ある程度の成果を得た。その成果は、ディスカッションペーパーの形にまとめて発表した。これについては、今後さらに研究を深めた上で専門誌に投稿する予定である。 また、「リスク鋭感的価値尺度」そのものの性質についてのより詳しい分析も進め、保険の加入者の立場からの評価や複合的なプロジェクトの評価などの種々の評価の問題にも有効なことが分かってきた。そして、この価値尺度をそれらの問題に適用する際に生じてくる検討課題についても検討を加えた。これらの成果はまだ成所書の形にはなっていないが、学会発表などでは報告している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「リスク鋭感的価値尺度」の特性について、基本的な理論構成はほぼできたといえる。現在この価値尺度の種々の評価問題への適用法とその有効性を検討しつつあり、序々に成果が出つつある。
|
今後の研究の推進方策 |
「リスク鋭感的価値尺度」を、プロジェクトの評価、信用リスクの評価、ポートフォリオの評価、などの課題に適用していく際に現れる検討課題を明らかにしその対応法を研究する。その際幅広い知識が必要になる可能性があるが、連携研究者と連携をとりつつ研究を進めることで克服してゆきたい。また、過去二年間の間に得られた成果を学会等で発表し、そこで得られるであろうコメントや議論の結果も参考にしつつ研究を進めたい。
|