研究概要 |
claw-freeグラフとはK_{1,3}を誘導部分グラフとして含まないグラフであり、線グラフの一般化になっている.本研究では、線グラフのハミルトン性についてのThomassen予想について考察を行った.ハミルトンサイクルとは、全ての頂点を通過するサイクルで、Thomassen予想とは4連結グラフはハミルトンサイクルを持つという予想である.2因子とは全ての連結成分がサイクルであるような全域部分グラフで、ハミルトンサイクルを一般化した概念になっている.本研究では、2または3連結といった低連結のclaw-freeグラフの2因子の連結成分数の上限についての研究を行った.22年度は、まずRyjacek教授を招へいし、小関氏らと共同研究を行い、連結成分数の上限をグラフの最大独立数で評価する研究を行い次のような結果を得た。「3連結claw-freeグラフは、連結成分数が高々2α/5であるような2因子を持つ(但し、αは最大独立数)」.この主張から、claw-freeグラフの最大独立数の上限を計算することにより、3連結claw-freeグラフの2因子の成分数の上限が2n/(5δ+10)で押さえられることがわかる(但し、nはグラフの位数、δは最小次数).この結果は本研究者らによるこれまでの上限を大幅に改良している.さらに、Cada博士を招へいし、千葉氏らと共同研究を行い、2連結claw-freeグラフが全ての連結成分がδ頂点以上であるような2因子の存在を証明した.証明は、Faudree教授や小関氏らとの共同研究によって得られた「最小次数が7以上の線グラフは全ての連結成分が3頂点以上からなる完全グラフであるような全域部分グラフを持つ」を一般化した主張を応用している.
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